三島由紀夫の「命売ります」

2017/08/26

三島由紀夫の「命売ります」
帯から以下引用
「もっとはやく教えてほしかった……
隠れた怪作小説発見!創造よりも数十倍オモシロイ
読んだ人の殆どが「みごと!」と唸る三島由紀夫の極上エンタメ小説。イメージを裏切る読みやすさでラスト10頁の衝撃的どんでん返しまで一気読み。スリリング&ロマンティック!これを読まずして三島を語るべからず!!」
「こんな面白い作品、ほっといていい訳ない」
「仮面の告白、潮騒、金閣寺といった代表作もすごいけど、いまの気分はコレでしょ。」
との事。以下感想で、ネタバレもありです。

正直何でも良かったので、仙台駅の書店で目に止まった三島由紀夫作品がこれ。
半信半疑で新幹線に乗り込み、読み始めたのは良かったのですが、当初東京まで仮眠してゆくつもりが全く休めませんでした。そう。帯は嘘ではなかったから。東京についてから帰りの新幹線で続きを読みたくて仕方なかったのです。

なんとおしゃれでシュールで、皮肉に満ちた主人公の青年が、自殺を失敗するところから物語は始まり、どうせ死んだ命として、その命を商品にして商売をはじめます。
最初はなんとも三島由紀夫らしいシニカルな青年像が仕事をして、お金を手にしていくのですが、もともと死ぬつもりだったので、様々な執着がありません。
いくつかの依頼に関わるうちに、青年が考えているような表面的な命のやり取りではなく、本人の望まない死がちらついてきます。
ここから一気にミステリーとして加速していき、ラストにたどり着くわけです。

自殺に失敗し、その命を商品にしようとするわけですが、結局自分が望んだ結末ではない死は、受け入れられなかったのでしょう。突然もたらされる死の恐怖に、結局は振り回されてしまうわけですが、それに気がつくまでにこの物語の妙があり、飽きさせません。

読んでみたくなった方はぜひ。